相続人の調査とは?相続人を調べる必要性や調査の方法を解説
2024/04/26
誰かが亡くなったときには相続が開始されます。相続人は亡くなった方(被相続人)の財産を取得するのですが、複数の相続人がいる場合には“誰がどの財産を手に入れるのか”ということを相続人全員で話し合わなければなりません。
そこで、話し合いに参加する人物が誰なのかを調べるために「相続人の調査」が必要です。相続人の調査ができていないとどうなってしまうのか、調査の必要性についてこの記事で書いていきます。また,相続人調査の手順についても解説していきます。
相続人の調査をする必要性
相続人調査が十分でない場合、相続人が参加しないまま遺産分割協議が行われてしまいます。遺産分割協議は相続人全員の同意を持って終結する必要があり、本来参加すべき相続人がそこに参加していないとき、その協議は無効となってしまいます。
協議が無効になるということは,いったんした遺産分割協議は最初からやりなおしになるということです。せっかく手間をかけて遺産分割の調整などを進めても意味がなくなってしまうのです。新たに相続人が見つかった場合は,再度協議を行い遺産分割の方法を調整していかなければなりません。
「相続人になるのはここにいる人たちだけのはずだ」と安易に考えることなく、しっかりと調査を行いましょう。予想外のところから相続人が出てくることもあります。例えば,被相続人と前の配偶者との間に子がおり、その存在を認識できていないときにはトラブルに発展するおそれがあります。
相続人調査の方法
遺産分割協議の前に相続人調査が必要なのですが、このときの調査の基本は「戸籍の収集」です。以下で調査に係る全体の流れを説明していきます。
被相続人の戸籍を集める
戸籍を集めることで調査を進めていくのですが、「被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍を集めること」が必要です。
一生分の戸籍を漏れなく取得していく必要がありますので注意しましょう。
戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍などを集めなければなりません。戸籍謄本等を確認すれば、被相続人と相続人との関係は明らかになります。
戸籍の取得にあたっては、亡くなった方の本籍地の市区町村役場で手続を行う必要があります。その際、戸籍交付申請書を作成し、印鑑と本人確認書類も一緒に持っていきましょう。
郵送で請求することもできるのですが、このときも申請書と本人確認ができる書類の写しを送ります。費用は数百円程度ですので、コスト面で心配する必要はないでしょう。
戸籍が連続していることを確認する
戸籍チェックのポイントは、“戸籍が連続しているかどうか”です。
戸籍の「作成日」と戸籍の「最終有効日」が一致している戸籍を集めていくことができれば連続していることの確認が取れます。
そこで基本の流れとしては、①被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本を取得、②当該戸籍が作成された日付を確認、③1つ前の戸籍を取得して削除日や除籍日などの日付を照合、これを繰り返します。こうした被相続人の出生にまで遡れば完了です。
相続人関係図を作成する
相続人調査に伴い「相続人関係図」も作成しておくことをおすすめします。
情報を整理するのに役立ちますし、その他の相続関連の手続にも利用できます。
相続人を確定する
被相続人の一連の戸籍が収集できれば、相続人の確定作業に入ります。
配偶者は常に相続人になることが法定されています。
そして子がいる場合には配偶者とともに子が相続人になります。元配偶者との間に子がいないかどうかは要チェックです。
子がいない場合には被相続人の親等(直系尊属)が、親等がいない場合には被相続人の兄弟姉妹が相続人になる権利を得ます。
戸籍を確認していくことで子の存在などを見つけていくことができますが、相続人となるはずであった人物がすでに亡くなっていることもあります。
この場合、代襲相続が起こるケースがあります。代襲相続が起こると、被相続人の子のさらに子が相続権を得ます。そしてこのケースでは、亡くなっている子に関してもさらに一生分の戸籍を集めていかなければなりません。
被相続人の親や兄弟姉妹が相続人になる場合でも、それらの人物につき現在の戸籍を取得し、内容を確認します。
弁護士に相続人調査を任せるのがおすすめ
隠れた相続人が出てくるケースはそれほど多くはないと考えられます。
しかし「たぶん他に相続人はいないだろう」と考えずに相続人調査は行いましょう。
被相続人に関して一連のすべての戸籍を集め、代襲相続などがあるとさらに大変な作業になります。必要な数だけ戸籍を集めることができたとしても、内容の確認時にチェック漏れがあると結局相続人が正しく確定させられません。
できるだけこれらの作業をスピーディ進めるためにも、ミスなく調査を進めるためにも弁護士に依頼することをおすすめします。
また、弁護士に依頼しておけば,万が一親族間で相続に関するトラブルが発生したときでも迅速に対応してもらうことが可能です。費用はかかりますが、遺産分割の方法や遺産分割協議書の作成など、弁護士なら幅広い法律問題をカバーできます。相続手続に困っている方はまずは気軽に相談から始めてみましょう。